裁量労働制は仕組みをよく理解したうえで導入しましょう

裁量労働制とは、1日8時間というような一般的な実労働時間ではなく、雇用主と労働者双方の取り決めで「見なし労働時間」を定め、それに基づいて賃金が支払われる制度です。

労働者が自ら時間管理を行うのが特徴で、裁量労働制で働く労働者は決まった時間に出社する必要はなく、自分の立てたスケジュールに沿って柔軟に仕事を進めることが可能です。ただし1日8時間を超えて働いても残業代は支払われません。企業の人事管理担当はタイムカードなどで労働時間を管理する必要はなく、時間外労働による割増賃金も発生しませんので、契約通りの賃金を支払うだけで済みます。

裁量労働制は1978年、労働基準法の改正により導入されました。すべての職種に適用されるわけではなく、対象となる職種はシステムエンジニアや記者、デザイナーなど厚生労働省が認可する11職種に限られています。制度導入の本来の目的は、労働者が効率的に働き、正当な評価を受けられるようにするものですが、残業が認められないため、不当な長時間労働が課せられるといった問題も浮上しています。残業を発生させないためには、あらかじめ仕事に要する時間をしっかりとシミュレーションすることが重要です。